会長挨拶
このたび、第23回日本看護医療学会学術集会を、2021年9月25日(土曜日)にオンラインで開催させていただくこととなりました。日本看護医療学会は、看護および関連するすべての学問分野を結集して相互の知識を体系化し、国民が安心して利用できる包括的ケアシステムの確立と健康増進に寄与することを目的として設立されました。学術集会では、看護が果たす役割や看護の質、そして最先端の看護学と幅広いテーマで討議が行われてきました。
今回のテーマは、「地域包括ケアシステムの真価と進化‐新型コロナウイルス(COVID‐19)との闘いを経験して‐」としました。2020年3月頃よりCOVID‐19との闘いが突如始まり、日本を含めた世界中が震撼しました。そしてその影響は我が国で推進している地域包括ケアシステムにも及び、地域包括ケアシステムを構成している各機関や施設、行政の機能が混乱し、さらに地域のコミュニケーション不足も生じました。これらが大きな要因となって地域包括ケアシステムがうまく機能せず、患者や利用者へ影響が及び始めました。しかし保健医療福祉に携わる者はその状況を食い止め、人々の健康と生活を護るべく、創意工夫をしながら対応をしてきたと思います。COVID‐19は何度か波のように増減し、そのたびごとに私たちは経験を積みました。そしてこれらの経験を整理し対策を重ねたことで、真価を問い続け有事にも機能継続できる地域包括ケアシステムに向かい一歩前進したのではないかと考えます。
本学術集会では、改めて地域包括ケアシステムの役割とそこでの看護の役割を確認しながら、地域包括ケアシステムが今後どのような方向に発展していけばよいのか考えたいと思います。また、COVID‐19の経験によって得られた課題を、医療、介護、教育などの観点から整理し、有事にも強い地域包括ケアシステムに進化するための手がかりを見いだす機会になればと思います。
第23回日本看護医療学会学術集会
会長 植村 真美 (うえむら ますみ)
公立西知多総合病院副院長兼看護局長